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福井地方裁判所 昭和54年(ワ)227号 判決

一 第一ないし第五権利がそれぞれ別紙図面(一)ないし(五)に示すとおりの意匠を内容とするものであり、第一、第二権利は原告高木が、第三ないし第五権利は原告らがその権利者であること、被告が別紙図面(六)ないし(一〇)に示すとおりの意匠を備えたA型ないしE型製品を製造販売する者であることは当事者間に争いがない。

また、成立に争いのない甲第一一号証の一ないし四によれば、被告の右各製品につき宣伝文書の存在することが認められる。

二 そこでA型ないしE型意匠が第一ないし第五意匠と類似するか否かにつき検討することとする。

ところで意匠法にいう意匠は物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合につき、視覚を通じて看者の美感に訴える外観的特性を把握するものであるから意匠の類似性の判断にあたつては比較する両意匠が全体的観察において別異の美感に訴える外観的特性を有するか否かにつき吟味しなければならない。そして右にいう外観的特性は多くその物品の意匠を構成する要部に由来するものと解される。

そこで本件第一ないし第五権利の意匠要部を検討するに、当事者間に争いのない権利の内容によれば、右各権利はいずれも護岸用又は構築用のコンクリートブロツクの意匠であるから、その物品の性質上看者が注目するのはその全体形状とこれを使用した場合に外面にあらわれる部分(前面盤の表面)の形状の二点にあると認められる。そして成立に争いのない乙第六ないし第一八号証により同種ブロツクの登録意匠と比較すれば、第一ないし第五意匠に創作性、新規性が認められるのも右の要部を総合した点に特徴があるためと考えることができる。

これに反する原告らの主張は要部を「つづみ型」の全体形状のみにかぎり看者の最も注目する前面盤の表面部を要部とみない点で失当であり、また被告の主張は結局意匠の各部を部分的にとらえ全体形状の中では極めて細かい差異に至るまで要部の差異としてとらえるもので全体的観察のもとで判断すべき要請と相容れず採用のかぎりではない。また類似の判断は一般の需要者を基準になされるべきであつて護岸用ブロツクの需要が主として建築業者にあるとしても被告の主張するような意匠に関する専門的知識を有する者を基準に判断すべきでないことはいうまでもない。

なお第一、第三、第五意匠は類似意匠として登録されたものであり類似意匠制度は本意匠権の類似の範囲を確認するために設けられた制度と解されるが、類似意匠の意匠権もひとつの意匠権であるからその権利範囲は同一物品、類似物品の同一意匠、類似意匠に及ぶものでありしたがつて端的に類似意匠と対象物品の意匠との類似性を判断すれば足りるものである。

そこで以下では前記二点の要部を総合して全体的に観察することにより各意匠の類似性を比較検討することとする。

1 第一意匠とA型意匠

第一意匠が別紙図面(一)のとおりであり、A型意匠が同図面(六)のとおりであることは前記のとおり当事者間に争いがない。

右の争いのない両意匠の構成及び成立に争いのない甲第一二号証、乙第一九号証の一(後記判断に反する部分を除く)、検証の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次のとおり両意匠の共通点、相違点が認められる。

(一) 両意匠の構成の共通点をみると、両意匠とも全体の基本的形状が前面盤と後面盤及びこれらをつなぐ連絡部からなる「つづみ型」に構成されており、前面盤は後面盤よりやや厚く横長長方形であつてその表面側の周囲が面取りされ、表面中央部に横長長方形の凹陥部が設けられている。また後面盤の表面が平滑である点も共通である。

(二) 両意匠の構成が相違する点をみると、第一意匠においては前面盤、後面盤が同じ大きさで各盤とも裏面は平滑であり、連結部は中央がくびれた四角柱に構成されているのに対し、A型意匠では前面盤より後面盤のほうがやや小さく各盤とも裏面が膨出形であり、連結部は四角柱の稜部を削り取つて断面が八角形となる形に構成されている。また、前、後面盤の横長長方形の縦横の辺の比率、前面盤表面中央部の横長長方形の凹陥部の比率等にも若干の相違のあることが認められる。

右の認定によれば、第一意匠の要部というべき二点の特徴がいずれもA型意匠にも備えられているということができる。

もつとも被告は右の共通点は他の登録意匠にも共通するところであるからこの点を重視すべきでない旨主張するが、被告の指摘する同種ブロツクの登録意匠は、第一意匠の要部の一つの特徴を共通にするものはあつても、いずれも前面盤の形状の明白な相違があつたり後面盤、連結部の形状の極端な相違のために全体としての「つづみ型」の形状そのものかとうてい類似性を有するとは認めえないものばかりであつて、第一意匠の二つの要部の特徴をともに備えるものはなく、前記のとおり第一意匠の外観的特性は二つの要部の特徴が結合したところにあるというべきであるから被告の主張は適切ではない。

次に右認定の相違点については、いずれも部分的な相違でありこれを全体形状の相違としてとらえると、前、後面盤の裏面や連結部といつた全体形状のうちでは比較的看者の注意を惹きにくい内側部分の相違や若干の大きさ、比率の相違にすぎないものということができる。そしてその他の相違点をすべて考慮しても、全体的に観察するかぎり右の各相違点が両意匠につき看者に異なる美感を与えるような外観的特性の相違を生じさせるほどの影響を及ぼすものとは認め難く、両意匠は「つづみ型」の全体形状及び前面盤の形状における特徴の共通性を通じて極めて類似するものといわざるをえない。

よつてA型製品は第一権利を侵害するものと認めるのが相当である。

2 第二意匠とB型意匠

第二意匠が別紙図面(二)のとおりであり、B型意匠が同図面(七)のとおりであることは当事者間に争いがない。

右の争いのない両意匠の構成及び成立に争いのない甲第一二号証(後記判断に反する部分を除く)、乙第一九号証の二、検証の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次のとおり両意匠の共通点、相違点が認められる。

(一) 両意匠の構成の共通点をみると、両意匠とも全体の基本的形状が前面盤と後面盤及びこれらをつなぐ連結部からなる「つづみ型」に構成されており、前面盤は後面盤よりやや厚く両盤とも野球のホームベース型であつて前面盤の表面周囲は面取りがなされ後面盤表面は平滑であり、両盤とも裏面は膨出形になつている。また連結部は前、後面盤の底辺側に偏した部分において両盤を連結している。

(二) 両意匠の構成が相違する点をみると、第二意匠においては、連結部が変形の六角柱でその上部は平面となり、また下面は前面盤の正面に対して垂直に構成されているのに対し、B型意匠では連結部が変形の五角柱でその上部は稜線となり、また下面は前面盤の正面に対して傾斜して構成されている。また前、後面盤の大きさの比率やホームベース型の各辺の比率等も若干異なつている。

さらに第二意匠の前面盤の表面は平滑であるのに対しB型意匠においては前面盤の表面に短小なホームベース型の凹陥部が設けられていることが認められる。

右の認定によれば両意匠は全体形状としての「つづみ型」の構成において共通しているものということができる。この点について相違点として連結部の違いが認められ、これによつてB型意匠が若干アンバランスな印象を与えるとはいうものの全体形状について別個の外観的特性と認めるほどの相違とはならない。したがつて第二意匠の要部の一つである全体形状の点については右のとおり共通性が認められる。

しかしながらもう一点の要部である前面盤の表面については明らかな相違があるといわなくてはならない。すなわち、B型意匠では、第二意匠にまつたく存しない凹陥部が前面盤表面中央部に設けられているのであつて、右は看者の最も注目する部位の相違であるから、重要な相違点であると認められる。

したがつて両意匠は要部の一点の特徴を共通にするが他の一点の特徴は共通にしないものである。

そこでさらに両意匠を全体的に観察しても、その要部である前面盤表面における明らかな差異は両意匠につき看者に異なる美感を訴えるに足る外部的特性というべきものであるから、両意匠が類似するものとは認められない。

なお原告は右のB型意匠の前面盤は第二意匠の前面盤をそのまますべて利用しこれに凹陥部を設けたにすぎないからいわゆる利用関係と同様の関係にあつて第二権利を侵害するものである旨主張する。

しかしながら第二意匠の要部である前面盤表面部分は平滑であること自体が極めて重要な意匠的特徴を構成しているものであるから、凹陥部を有することを意匠的特徴とするB型意匠の前面は別個の意匠を構成するものというべきであつて利用関係と認めるのは相当でない。

したがつて右主張は理由がない。

以上によればB型製品は第二権利を侵害するものではないと認めるのが相当である。

3 第三意匠とC型意匠

第三意匠が別紙図面(三)のとおりであり、C型意匠が同図面(八)のとおりであることは当事者間に争いがない。

右の争いない両意匠の構成及び成立に争いのない甲第一二号証、乙第一九号証の三(後記判断に反する部分を除く)、検証の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次のとおり両意匠の共通点、相違点が認められる。

(一) 両意匠の構成の共通点をみると、両意匠とも全体の基本的形状が前面盤と後面盤及びこれらをつなぐ連結部からなる「つづみ型」に構成されており、前面盤、後面盤とも二等辺三角形の底辺両側を欠切した形(変形の五角形)で裏面は膨出形である。前面盤の表面周囲は面取りがなされその中央部には二等辺三角形の凹陥部が設けられており後面盤表面は平滑である。また連結部は前、後面盤の底辺側に偏した部位において両盤を連結している。

(二) 両意匠の構成が相違する点をみると、第三意匠においては前、後面盤が同じ大きさでブロツク全体の長さと前面盤の横幅とは等しく、また連結部は前面盤に対して垂直な変形の六角柱でその上部が平坦面となるように構成されているのに対し、C型意匠は前面盤より後面盤のほうがやや小さくブロツク全体の長さは前面盤の横幅の約三分の二で連結部は前面盤に対してやや傾斜した変形の五角柱でありその上部が稜線となるように構成されている。

右の認定によれば、第三意匠の要部というべき二点の特徴がいずれもよくC型意匠にも備えられているということができる。

もつとも被告は前面盤の形状の類似性について第三意匠では二等辺三角形であるのに対しB型製品の意匠では短小な将棋の駒型であつて明らかに相違する旨主張する。

たしかに部分的にとらえると被告の表現が誤まりであるということはできないが、両意匠の前面盤を全体的に観察すると、B型意匠において五角形を構成すべき底辺両側の縦線はその大きさが他の辺に比べて極めて小さいために、第三意匠における底辺両側の欠切がやや大きく構成されたという程度の相違としてしか感ぜられず、また表面中央部に設けられた凹陥部の形状がいずれも二等辺三角形であることと相まつてC型意匠における前面盤は看者に対して五角形というよりむしろ三角形という印象を強く与えるものとなつている。

したがつて前面盤の形状はこれを共通点として把握すべきものであつて、被告のように部分的にとらえて表現しこれを相違点とすることは相当でない。

そこで前記のとおり第三意匠とC型意匠とはその要部の特徴をいずれも共通するものというべきであるが、さらに相違点と認められる点を考慮して検討すると、右認定の相違点はいずれも各部の構成比率の若干の差異や看者の注意を惹きにくい連結部自体の相違であるため、これを全体的に観察しても右の相違によつてC型意匠が第三意匠より若干ずんぐりしたアンバランスな感じがするものの別個の美感を生じさせるに足る外観的特性を形成するほどの相違とは認められず、要部の特徴の共通性によつて両意匠は極めて類似するものということができる。

よつてC型製品は第三権利を侵害するものと認めるのが相当である。

4 第四意匠とD型意匠

第四意匠が別紙図面(四)のとおりであり、D型意匠が同図面(九)のとおりであることは当事者間に争いがない。

右の争いのない両意匠の構成及び成立に争いのない甲第一二号証、乙第一九号証の四(後記判断に反する部分を除く)、検証の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次のとおり両意匠の共通点、相違点が認められる。

(一) 両意匠の構成の共通点をみると、両意匠とも全体の基本的形状が前面盤と後面盤及びこれらをつなぐ連結部からなる「つづみ型」に構成されており、前面盤、後面盤とも全体として直角三角形の直角でない二角の部分を欠切した形であり前面盤の表面は周囲が面取りされ表面中央部には直角三角形の凹陥部が設けられ、後面盤は表面が平滑とされ両盤とも裏面は膨出形に構成されている。また連結部は四角柱の一稜線を欠切して五角柱に構成され、前、後面盤の直角を構成する部位に偏した位置において両盤を連結している。

(二) 両意匠の構成が相違する点としては、各部位をより詳細にみると、第四意匠においては、前、後面盤が同じ大きさであり前面盤表面に設けられた凹陥部の直角三角形はその二角の先が欠けた形に構成されており、前、後面盤裏面の膨出部は傾斜が二段階になつている。また連結部における一稜線の欠切部分は小さく、連結部の底面及び側面は前面盤に対して垂直に結合している。これに対しD型意匠においては、前面盤より後面盤のほうがやや小さく、前面盤表面に設けられた凹陥部の直角三角形はその一角のみの先が欠けた形に構成されており、前、後面盤裏面の膨出部の傾斜は一段である。また連結部における一稜線の欠切部分は大きく、連結部の底面及び側面は前面盤に対して傾斜をもつて結合している。

右の認定によれば第四意匠の要部というべき二点の特徴がいずれもD型意匠にも備えられているということができる。

なお被告は前面盤の形状につき第四意匠では正方形から右上部を切り取つた形であるのに対しD型意匠では長方形から右上部を切り取つた形であるから相違するというのであるが、右は表現の違いにすぎず、前面盤表面に設けられた凹陥部の形状が直角三角形であることをも考えるとむしろ前記認定のとおり前面盤自体が直角三角形を基本として形成されたものと考えるのが相当であつて、両意匠の前面盤の形状は辺等の比率に若干の違いがあつても基本的には共通点として把握すべきものである。

そこで第四意匠とD型意匠とはその要部をいずれも共通にするものというべきであるが、さらに右に相違点と認められる点を考慮して検討するに右認定の相違点はいずれも部分的な相違点であつてこれを全体的に観察しても、右の相違によつてD型の意匠が全体として第四意匠より若干アンバランスな印象を与える程度であつて、看者に別個の美感を生じさせるような別個の外観的特性があらわれるには至らない。

したがつて要部の特徴の共通性によつて両意匠は全体として極めて類似するものと認められるからD型製品は第四権利を侵害するものと認めるのが相当である。

5 第五意匠とE型意匠

第五意匠が別紙図面(五)のとおりであり、E型意匠が同図面(一〇)のとおりであることは当事者間に争いがない。

右の争いのない両意匠の構成及び成立に争いのない甲第一二号証、乙第一九号証の四(後記判断に反する部分を除く)、検証の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、第五意匠は第四意匠の類似意匠として登録されたものであつて前面盤の直角三角形の各辺の比率や連結部の一稜線の欠切の割合に若干の違いがあるものの基本的な構成は一致するものであることが認められ、第五意匠とE型意匠との間には、第四意匠とD型意匠とについて認定したのと対応する共通点、相違の存することが認められる。

そうするとD型製品が第四権利を侵害するのと同様にE型製品もまた第五権利を侵害するものといわざるをえない。

以上によればB型製品を除き被告のA型及びC型ないしE型製品は原告らの第一及び第三ないし第五権利それぞれを侵害するものというべきであり、被告は過失により右原告らの権利を侵害したものと認めるのが相当である。

三 そこで次に原告ら主張の損害につき判断する。

請求原因5の事実は当事者間に争いがない。そして原告らは被告において各製品一個につき少なくとも金八〇円の利益があるからこれをもつて原告らの損害と推定される旨主張する。

これに対し被告は右各製品によつてはまつたく利益を得ていない旨主張し、被告代表者本人尋問(第二回)の結果及びこれにより成立の認められる乙第二一号証は被告の右主張にそうものである。

右の証拠は必ずしもこれを全面的に措信することはできないが、本件全証拠によるも、原告らの主張のように被告が各製品一個につき金八〇円の利益を得たことについてはその証明が十分でなく、また他の具体的な利益額を窺わせる証拠も存しない。

したがつて原告らの主張する被告の利益額をもつて原告らの損害とみることはできず、結局損害としては通常受けるべき実施料相当の損害にとどまるものと認めざるをえない。

四 そこで原告らの各権利の実施料率を検討するに、原告らは請求原因7においてこれを販売価格の五パーセントと主張するところ成立に争いのない甲第一八号証によれば右は窯業、土石製品の実施料率の最頻値であることが認められる。しかしながらまた右証拠によればこの分野の実施料率は一パーセントから一〇パーセントの範囲に分布しており、ガラス及びコンクリート関係技術は二パーセントと一パーセントに集中していることが認められる。

そうすると原告らの本件各権利の実施料率として販売価格の五パーセントという値が適切であるか否かは必ずしも明らかでなく、他にこれが適切な値であると認定するに足る証拠はないから、本件においては実施料率分布の最低値である一パーセントをもつてその実施料率と認めるのが相当である。

そして被告代表者本人尋問(第二回)の結果及びこれにより成立の認められる乙第二一号証によれば、昭和五四年五月二〇日から昭和五五年六月二〇日の間のA型及びC型ないしE型製品の販売価格はいずれも平均金三四八円五〇銭と認められ、また右期間の各製品の販売個数が請求原因5のとおりであることは前記のとおり当事者間に争いがない。

そこで右に基づき計算すると右期間中のA型製品の総販売額は金五八九万九七五六円五〇銭となり実施料率一パーセントをこれに乗ずると実施料は金五万八九九七円(一円未満切捨)となり、同様に算出するとC型ないしE型製品の実施料は合計金二五〇九円(一円未満切捨)となつてこれらが原告らの受くべき総実施料である。

そして右各製品に対応する原告らの権利のうち第一権利は原告高木が単独権利者であり、第三ないし第五権利が原告らの共有であることは当事者間に争いがないから右に応じて通常受けるべき金銭の額としての実施料相当額を配分すると原告高木の受けるべき額は金六万〇二五一円、同原田は金一二五四円(いずれも一円未満切捨)となる。

したがつて被告は各原告に対し右各金員の損害を賠償すべき義務がある。

五 以上のとおりであるから、原告らの本訴請求のうち第一及び第三ないし第五権利に対する侵害として被告のA型及びC型ないしE型製品の製造販売の差止め及び必要な措置を求める点並びに右侵害に対する損害賠償として通常受けるべき金銭及びこれに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録上明白な昭和五四年一〇月二日から右各金員の完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める点は理由があるからこれを認容し、その余の請求については理由がないからこれを棄却する。

〔編註その一〕 本件における当事者の主張は左のとおりである。

第一 当事者の求めた裁判

一 請求の趣旨

1 被告は、別紙目録(六)ないし(一〇)記載のコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクA型ないしE型」を製造販売し又は販売のために展示してはならない。

2 被告は、被告の営業所・倉庫及び工場における前項の製品・半製品及び同製品に関する宣伝文書を廃棄せよ。

3 被告は、原告高木良彦に対し金一九三万三二八〇円、同原田正一に対し金二万八八〇〇円及び右各金員に対する昭和五四年一〇月二日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

4 訴訟費用は被告の負担とする。

5 第3、4項につき仮執行宣言

二 請求の趣旨に対する答弁

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二 当事者の主張

一 請求原因

1 原告高木良彦は別紙目録(一)、(二)の意匠権の単独権利者であり、原告らは同目録(三)ないし(五)の意匠権の共有者である(以下同目録(一)ないし(五)の意匠権をそれぞれ第一権利ないし第五権利といい、その意匠をそれぞれ第一意匠ないし第五意匠という)。

2 被告はおそくとも昭和五四年五月二〇日以降別紙目録(六)ないし(一〇)の各物品(以下同目録(六)ないし(一〇)の各物品をそれぞれA型製品ないしE型製品といいその意匠をA型意匠ないしE型意匠という)を製造販売している。

3 被告は、原告らの第一ないし第五権利を知りながら又は過失によりこれを知らないでA型ないしE型製品を製造販売するに至つたものであるが、被告のA型ないしE型製品の意匠はそれぞれ原告らの第一ないし第五権利を侵害するものである。

4 すなわち原告らの第一ないし第五意匠と被告のA型ないしE型意匠とをそれぞれ対比すると次のとおりである。

(一) 第一意匠は横長長方形の二枚の盤体を中央部がくびれた四角柱で連結した全体として長方形のつづみ型形状に構成し、正面側の盤体は背面側の盤体よりやや厚く外周四辺をテーパー面とし中央に横長長方形の凹陥部を設けた構成である。

これに対しA型意匠は二枚の盤体を連結する中央部がくびれた四角柱の綾部を弓なりに削り取つて中央断面が横長八角形となるようにしただけで他はまつたく本件第一意匠と同一の構成である。

第一権利の意匠的要部は全体形状として横長長方形のつづみ型形状に構成した点にありA型製品はこの特徴を共通にしてその意匠は一見して第一意匠と同一又は明らかにこれに類似するものであるから、その権利範囲に属するものである。

(二) 第二意匠はホームベース型五角形状の二枚の盤体を底面側に偏した部位で一致させた同一平面位置においてホームベース型五角形の頂部を欠切した盤体よりも断面積の小さい六角柱で連結し正面側の盤の周囲をテーパー面とし二枚の盤体と六角柱との間にテーパー部を設けた構成である。

これに対しB型意匠は正面側のホームベース型盤体の中央に縮小したホームベース型凹陥部を設け連結柱の断面形状を頂部欠切のない縮小したホームベース形状としたのみで他の構成はまつたく第二意匠と同一である。

第二意匠の特徴は右の全体形状にありB型意匠は一見してその特徴を完全に備えているものであるから明らかに第二権利の範囲に属するものである。

なお、正面側のホームベース型盤体中央部における凹陥部の有無は一つの特徴を形成するものであつても基本形状に対する模様的要素にすぎないものであるから、基本形状の類似性は免れえないものである。

(三) 第三意匠は二等辺三角形の底辺両側を欠切した二枚の盤体を底面側で一致させた同一平面位置において五角形状の頂部を欠切した六角形断面の角柱で連結し正面側盤の周囲をテーパー面としてその中央に三角形の凹陥部を設けるとともに二枚の盤体と連結柱との間にテーパー部を設けた構成である。

これに対しC型意匠は連結柱断面の形状を頂部欠切をしない五角形状のままとしただけで他は第二意匠とまつたく同一の構成である。

第三意匠の特徴は右の全体形状であるところ、C型意匠はその特徴をすべて備えており明らかに第三権利の権利範囲に属するものである。

(四) 第四意匠は連結柱の断面内側縁辺と盤体の欠切側三辺との対応をアンバランスにして盤体と連結柱との間に構成されるテーパー面を先細りの変化形状としたものである。

これに対しD型意匠は盤体の欠切が対象線との平行関係をわずかに欠く状態で欠切し連結柱断面の五角形を構成する対向角欠切を若干大きくし盤体と連結柱の間のテーパー部を一段としただけで基本的構成は第四意匠とまつたく同一である。

第四意匠の特徴は右の全体形状であるところ、D型意匠はその特徴を備えており第四権利の権利範囲に属するものである。

(五) 第五意匠は正方形の対角線のやや上方を対角線に沿つて欠切した略三角形状の二枚の盤体を頂点部の二辺挟角の中心位置において断面が略正方形の右二辺挟角と一致させた角の対向角部を欠切した五角形の角柱で連結した左側面側の盤の周面をテーパー面としてその中央に略三角形状の凹陥部を設け二枚の盤体と連結柱の間に大小二段のテーパー部を設けた構成である。

これに対しE型意匠はD型意匠と同一構成で連結柱の断面内側縁辺と盤体の欠切側三辺とのアンバランスな対応関係をD型及び第四意匠と逆にして盤体と連結柱との間に構成されるテーパー面を先太りの変化形状としただけのものである。

第五意匠の特徴は右の全体形状にあるところ、E型意匠はその特徴を備えており明らかに第五権利の権利範囲に属するものである。

5 被告は昭和五四年五月二〇日から昭和五五年六月二〇日までに次のとおりA型ないしE型製品を製造販売した。

A型製品 一万六九二九個

B型製品 六八七七個

C型製品 三二八個

D型製品 一九六個

E型製品 一九六個

6 被告は右により各製品一個につき少なくとも金八〇円の利益を得たので被告の得た利益は合計金一九六万二〇八〇円である。

被告の右行為により原告らは損害を被つたが、その損害総額は被告の得た利益である右金額と推定される。

右損害総額を第1項のとおり原告らの各権利の持分により分割すると原告高木の損害は金一九三万三二八〇円、同原田の損害は金二万八八〇〇円となる。

7 仮に右損害が認められないとしても、意匠法三九条二項により原告らが受くべき損害額は通常その製品の販売価格の五パーセントに相当する額であるから、前記販売個数の総計二万四五二六個に販売の際の平均単価金三七六円五〇銭を乗じた売上額金九二三万四〇三九円の五パーセントにあたる金四六万一七〇一円につきそれぞれ第1項の各権利の持分の割合に応じた額が原告らの損害である。

よつて原告らは被告に対し第一ないし第五権利に基づきこれを侵害する被告のA型ないしE型製品の製造、販売、販売のための展示の差止め及びこれらの製品、半製品、その宣伝文書の廃棄並びに被告の右各製品による損害

の賠償として原告高木に対して金一九三万三二八〇円、同原田に対して金二万八八〇〇円及び右各金員に対する本訴状送達の日の翌日である昭和五四年一〇月二日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二 請求原因に対する認否

1 請求原因1、2の各事実は認める。

2 同3、4のうち原告らの各意匠の構成は認めるがその余は争う。後記被告の主張のとおりA型ないしE型意匠は原告らの第一ないし第五意匠に類似するものではない。

3 同5の事実は認める。

4 同6の事実は否認する。

A型ないしE型製品については各種費用がかさみ被告はいまだまつたく利益をあげておらず、いわゆる赤字の状態である。

5 同7は争う。

三 被告の主張

意匠の類似の判断において、当該物品にその物品の本質的論理的機能に由来する形状、その本来の属性として固有されその形状なしには物品そのものが存在しえない基本的、当然の形状等が含まれている場合には、その部分の形状はその意匠の創作者の創作部分とはいえないからその部分の形状は除外したうえ類似の有無が判断されるべきである。

本件においては、まず物品が「つづみ型」形状の護岸用ブロツクであるから基本的必然的に二枚の盤体を中央部がくびれた連結柱で連結し全体として「つづみ型」になるのであつて、この形状は類似判断から除外されるべきである。

次に本件の物品は組合せて積み上げる物品であるから本質的、必然的にその正面の盤体が長方形、五角形、直角二等辺三角形、または長方形から三角形を切り取つた形状にならざるをえない。したがつてこの必然的な形状も類似判断から除外されるべきである。

また意匠の類似の判断においては意匠登録出願前に公知である部分は創作性があるとはいえないから除外して判断されるべきである。

本件の「つづみ型」形状の護岸用ブロツクは原告が意匠出願する相当以前から広く業界に出回つているもので公知の形状である。

また正面の盤体形状、後面の盤体形状も何ら原告らの創作性はなくいずれも公知の形状である。

したがつて本件においてはこれらの公知の形状を類似判断の対象から除外すべきである。

さらに本件の物品の需要者は護岸工事を行なう建築業者にほぼ限られており専門的な知識を有する者であるから意匠の相違を明確に把握できるのであつて、意匠の類比の判断においては人的基準としてこのような点も考慮すべきである。

なお第一、第三、第五意匠は類似意匠として登録されたものであるからこれらの意匠についての類似の判断については本意匠の権利範囲をも考慮されるべきである。

そこで右のような観点から原告らの第一ないし第五意匠と被告のA型ないしE型意匠との類似性を検討すると次のとおりであつて、いずれも類似の意匠でないことが明らかである。

1 第一意匠とA型意匠

(一) 共通点

(イ) 前面盤と後面盤があつてこれらを連結部で連結している。

(ロ) 前面盤が横長長方形である。

(ハ) 前面盤の周囲表面側の角に面取りがある。

(ニ) 前面盤の正面中央部に横長長方形の凹陥部がある。

(二) 差異点

(ホ) 前面盤、後面盤の裏面が第一意匠では平滑であるのに対し、A型意匠では膨出形で著しく異なる。

(ヘ) 連結部の横断面が第一意匠では四角形であるのに対し、A型意匠では八角形で著しく異なる。

(ト) 第一意匠では前面盤と後面盤の大きさが同じであるが、A型意匠では後面盤のほうがやや小さくなつている。

(三) ところで、右の共通点はこの種ブロツクの他の多数の登録意匠(意匠登録第二四〇八三九号、同第三六四一三九号、同第四四三二一三号、同第四四四〇六五号など)にも共通するところであるからこれらの点が共通しても第一権利の侵害となるものではなく、またこれらの点のみでは第一意匠には創作性も新規性も認められない。第一権利が登録されたのは前、後面盤及び連結部の各部の形状の特徴を総合したところに創作性が認められたことによるものであるから、これらの形状にとくに右の差異点のような著しい差異のあるA型意匠は看者の審美感に強い影響を与えるものである。すなわち、第一意匠では平面的で華奢な感じがするのに対してA型意匠は立体的で厚みのある力強い頑丈な感じを与えるうえ前面盤と後面盤のバランスがよく安定感を与えるのである。とくに連結部の差異は著しく看者の審美感に影響を与えるものであり、また後面盤が小さい点もブロツク取扱者の注目するところであつて意匠の要部とみるべきであるからこれらの相違は大きな意味がある。

なお、共通点とされる前面盤正面の凹陥部についても第一意匠は単にこれを設けたというにすぎないがA型意匠は正面全体とのバランスを美的に検討したうえで設けたものである。

右のとおり、A型意匠は第一意匠に対し看者に異なる美感を与えるものであつて、第一意匠に類似するものではない。

2 第二意匠とB型意匠

(一) 共通点

(イ) 前面盤と後面盤があつてこれを連結部で連結している。

(ロ) 前面盤が将棋の駒形である。

(ハ) 前面盤の周囲正面側角に面取りをしている。

(二) 差異点

(ニ) 前面盤の正面に、B型意匠には第二意匠にない凹陥部がある。

(ホ) 連結部の断面が第二意匠は変形六角形であるがB型意匠は変形五角形である。

(ヘ) 連結部の上部が第二意匠は平面であるがB型意匠は稜線である。

(ト) 下面が第二意匠では前面盤の正面に対し垂直であるがB型意匠では傾斜している。

(チ) 第二意匠では前面盤と後面盤が同じ大きさなのに対しB型意匠では後面盤のほうが小さい。

(三) 右のうち共通点については第一権利について指摘したのと同様であり他の多数の登録意匠(意匠登録第二五六五六一号、同第二八六九六四号、同第三八六二七六号、同第四二〇三〇二号、同第四四四六九四号、同第四八二六一三号など)とも共通であつて意匠的要部とはなりえない。そして各部において右の差異点のごとく多数の点に相違があるため、第二意匠ではやや丸みのある平らな感じを与えバランスのとれた安定した感じがするのに対して、B型意匠は立体的ですつきりした感じを与え尻すぼまりで動的な感じがする。そしてとくに前面の凹陥部の有無はこの種製品において看者が最も注目すべき要部の相違であるから、この点のみからも両意匠が看者に対して異なる審美感を与えるものであることは明白である。

なお前面盤表面部分の意匠について、これが意匠法二六条に該当する利用関係でないことは明らかであるし、右条項を離れて利用関係の有無を考えても、B型意匠における凹陥部は、前面盤そのものと一体不可分であつてB型意匠から第二意匠を独立して区別することはできないのであるからB型意匠が第二意匠を利用する関係でないのは明らかである。

以上のとおりB型意匠は明らかに第二意匠とは相違するものである。

3 第三意匠とC型意匠

(一) 共通点

(イ) 前面盤と後面盤があつてこれらが連結部によつて連結されている。

(ロ) 前面盤の正面中央に直角二等辺三角形の凹陥部がある。

(ハ) 前面盤の周囲正面側角に面取りがしてある。

(ニ) 連結部が前、後面盤の下辺中央に位置している。

(二) 差異点

(ホ) 前面盤が第三意匠は略直角二等辺三角形であるのにC型意匠は短小な将棋の駒形である。

(ヘ) 連結部の横断面が第三意匠はトーチカ形の変形六角形であるのに対しC型意匠は将棋の駒形の変形五角形である。

(ト) 連結部の上部が第三意匠では平面であるのにC型意匠は稜線である。

(チ) 前面盤と後面盤の大きさが第三意匠では同じであるのにC型意匠は異なつている。

(リ) 下面と前面盤の正面とが第三意匠では垂直であるのに対しC型意匠は傾斜している。

(三) 右の共通点や第三権利が登録されたゆえんは第一、第二権利について指摘したのと同様であつて、各部における形状において右の差異点のように多くの相違があるため、第三意匠ではやや丸みのある平らな感じを与え棒状のものを両端から押しつぶしたような感じがするのに対して、C型意匠は立体的ですつきりしてさわやかな感じを与え伸び伸びとした雄大な感じを与えるのである。

したがつて両意匠は看者に異なつた美感を与えるものであるから類似するものではない。

4 第四意匠とD型意匠

(一) 共通点

(イ) 前面盤と後面盤とがあつてこれらを連結部で連結している。

(ロ) 前面盤が四角形の一つの角を切り取つた形状である。

(ハ) 前面盤の周囲正面側角に面取りがある。

(ニ) 連結部が前、後面盤の一つの隅に寄つている。

(ホ) 前面盤の正面に凹陥部が形成されている。

(二) 差異点

(ヘ) 前面盤と後面盤の大きさが第四意匠は同じであるが、D型意匠は異なつている。

(ト) 前面盤が第四意匠では正方形から三角形を切り取つた形であるのに対し、D型意匠は長方形から三角形を切り取つた形である。

(チ) 前面盤の中央の凹陥部が第四意匠は三角形の二つの鋭角を切り落した形であるのに、D型意匠は三角形の一つの鋭角を切り落し残りの鋭角はするどく尖つたままである。

(リ) 連結部の両端に第四意匠では帯状模様(形状)があるのに対しD型意匠は一本線である。

(ヌ) 連結部の横断面において第四意匠では正方形の一つの角を小さく切り欠いているのに対しD型意匠は大きく切り欠いている。

(ル) 下面と前面盤の正面とが第四意匠では垂直であるのにD型意匠では傾斜している。

(ヲ) 前、後面盤に対し連結部の大きさが第四意匠では小さいのにD型意匠は大きい。

(三) 第四意匠とD型意匠との間には右のような共通点があるがこれらは概念的なものであつて創作性が認められるものでなく、具体的形態に対して創作性が判断されるところ、この種ブロツクを積み上げた場合、一般人の最も注意をひく前面盤の正面の形状において(ト)(チ)の差異があり全体形状においても前記の差異があるため第四意匠は立体的、華奢ですつきりしたさわやかな感じを与えバランスのとれた伸び伸びした雄大な感じがするのに対して、D型意匠はやや丸みのあるずんぐりした頑強な感じを与え重々しい感じをも与える。

したがつて両意匠は看者において異なる美感を受けることが明らかであるから、類似のものということはできない。

5 第五意匠とE型意匠

(一) 共通点

(イ) 前面盤と後面盤とがあつてこれらを連結部で連結している。

(ロ) 前面盤が四角形の一つの角を切り取つた形状である。

(ハ) 前面盤の周囲正面側角に面取りがある。

(ニ) 連結部が前、後面盤の一つの隅に寄つている。

(ホ) 前面盤の正面に凹陥部が形成されている。

(二) 差異点

(ヘ) 前面盤と後面盤の大きさが第五意匠では同じであるのに対しE型意匠は異なる。

(ト) 前面盤が第五意匠では正方形から三角形を切り取つた形であるのに対しE型意匠は長方形から三角形を切り取つた形である。

(チ) 前面盤の中央の凹陥部が第五意匠では三角形の二つの鋭角を切り落した形であるのにE型意匠は三角形の一つの鋭角を切り落し残りの鋭角はするどく尖つたままである。

(リ) 連結部の両端に第五意匠では帯状模様(形状)があるのに対しE型意匠は一本線である。

(ヌ) 連結部の横断面において第五意匠が正方形の一つの角を小さく切り欠いているのに対しE型意匠は大きく切り欠いている。

(ル) 下面と前面盤の正面とが第五意匠では垂直であるのに対しE型意匠は傾斜している。

(ヲ) 前、後面盤に対し連結部の大きさが第五意匠では小さいのに対しE型意匠では大きい。

(三) 第四意匠に関して述べたのと同様のことが本意匠にもいえるのであつて、右の差異点によつて第五意匠では立体的、華奢ですつきりしたさわやかな感じを与えバランスのとれた伸び伸びした雄大な感じがするのに対してE型意匠はやや丸みのある頑強でずんぐりした感じを与え重々しい感じも与える。

したがつて看者が両意匠から受ける美感は明らかに異なるのであつて、これを類似ということはできない。

以上のとおり原告らの第一ないし第五意匠と被告のA型ないしE型意匠とは明らかに非類似であるから、A型ないしE型製品が第一ないし第五権利を侵害することはない。

四 原告らの反論

意匠は、意匠法二条の規定から明らかなように物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの総合であつて視覚を通して美感を起こさせるものである。

これを本件についてみると、本件では模様、色彩は問題とせず単に形状のみが問題となる意匠である。すなわち形状の意匠から視覚を通して感ぜられる美感が本件意匠である。そこで両意匠の類似性はあくまで全体形状の対比とその全体形状からの美感で判断されるべきであり、被告のように全体形状の観察を離れて細部のみをとりあげあたかも両者が類似しないかのように主張するのは根本的な誤解に基づくものである。

原告らの各意匠と被告製品の意匠との類似性は別紙図面(一)ないし(五)と同図面(六)ないし(一〇)とを各対比すれば明らかであるといわなければならない。

なお、被告は他の同種ブロツクの登録意匠との比較からも第一ないし第五権利の範囲は狭く被告の各製品はこれを侵害するものでない旨主張するが、被告指摘の各登録意匠はいずれも原告らの意匠とは判然と異なる特徴を有するものであることが一見して明らかなものである。

以下に各意匠につき被告の主張する差異点につき具体的に反論することとする。

1 第一意匠とA型意匠

被告が差異点と指摘するうち(ホ)(ヘ)の点はいずれも連結部の形状としてとらえられるものであり、かえつて類似点とさえいうべきものである。すなわち、(ヘ)は連結部の稜線を削り取るかどうかだけの差異にすぎず(ホ)の膨出部によつて連結部が全体として中央でくびれた略円弧状面に構成されるに至り両者は極めて類似するのである。

そして(ヘ)でいう断面自体は看者が直接見ることができない部分であるから意匠的に重要性はなく、(ト)の相違も一見して判別できない程度のものにすぎない。

また前面盤の凹陥部のバランスの問題も極めて相対的なもので、四角形の中央部に四角形を重ねた構成が同一で極端な形状の相違もないので注意して見なければ相違に気づかない程度のものにすぎない。

以上のとおり被告主張の差異は部分的なわずかな差異であり、両意匠を全体的に観察したとき、看者が異なる美感を受けるものでないことは明らかである。

2 第二意匠とB型意匠

被告が差異点として指摘するうち(ホ)(ヘ)はいずれも連結部(1)部分的な形状に関するもので、連結部の相違は結局上面を尖突状のままにしたか否かだけであとは同一形状といつても過言でない程度のものである。また(ト)(チ)はいずれも相対的な程度の差異にすぎず、この程度では注意して見なければ視覚によつて把握するのが困難である。(二)の表面凹陥部については相違があるもののブロツクの構成としての全体形状が酷似しているため表面凹陥部の相違は一見して判別し難い程度である。仮にこの相違をもつて別意匠を構成するとしても、B型意匠の前面盤表面部は第二意匠のそれを完全に利用してこれに凹陥部を付加したものにすぎないからB型意匠は第二意匠といわゆる利用関係があるというべきである。そして意匠法二六条によればB型意匠が登録されていたとしても保護されないのであるから、ましてや登録のない本件のB型意匠が保護されるいわれはない。

以上のとおり被告の主張する相違はいずれも部分的でわずかな相違にすぎず、両意匠が看者に異なる美感を与えることはありえないから両者は明らかに類似するものである。

3 第三意匠とC型意匠

被告が差異点と指摘するうち(ホ)は短小な将棋の駒形というより二等辺三角形の底辺両端角をカツトした形状というほうが一般常識に合致し、そのカツトの大きさが若干違う程度で意匠の構成としては同一であり、(ヘ)(ト)(チ)(リ)はいずれも相対的な程度の差という以上に出るものでなく、視覚的にただちに判別し難い程度の相違である。

したがつて両意匠を全体的に観察すれば一見して類似であることが否定できない。

4 第四意匠とD型意匠

被告が差異点と指摘するうち(リ)は連結部の曲面に縁どりを施したか否かの問題にすぎず、意匠的には全体形状の中に吸収されるまつたくの部分的な相違であり、その他の点もいずれも部分的なもので相対的な程度の違いであつて、余程詳細に寸法の違いを見較べなければ気づかないほどのものである。

したがつて両意匠から異なる美感が感ぜられるような差異はない。

5 第五意匠とE型意匠

第四意匠とD型意匠に関して述べたこととまつたく同一であつて、両意匠は類似するものである。

以上のとおり被告の反論は理由がなく、A型ないしE型製品が第一ないし第五権利を侵害するものであることは一見して明らかである。

第三 証拠(略)

〔編註その二〕 本件に関する目録は左のとおりである。

目録

(一) 意匠に係る物品 護岸用ブロツク

出願番号    昭和四八年第四四八四六号

出願日     昭和四八年一二月三日

登録番号    第四六七九七三号の類似二

登録日     昭和五二年一〇月六日

登録意匠の範囲 別紙図面(一)のとおり

(二) 意匠に係る物品 構築用コンクリートブロツク

出願番号    昭和五〇年第五一三〇号

出願日     昭和五〇年二月八日

登録番号    第四七五九六八号

登録日     昭和五三年一月一八日

登録意匠の範囲 別紙図面(二)のとおり

(三) 意匠に係る物品 構築用コンクリートブロツク

出願番号    昭和五一年第一三三八七号

出願日     昭和五一年四月一三日

登録番号    第四九一〇九五号の類似一

登録日     昭和五三年九月二〇日

登録意匠の範囲 別紙図面(三)のとおり

(四) 意匠に係る物品 護岸用ブロツク

出願番号    昭和五一年第一三三八二号

出願日     昭和五一年四月一三日

登録番号    第四七七八三九号

登録日     昭和五三年一月三一日

登録意匠の範囲 別紙図面(四)のとおり

(五) 意匠に係る物品 護岸用ブロツク

出願番号    昭和五一年第一三三八一号

出願日     昭和五一年四月一三日

登録番号    第四七七八三九号の類似一

登録日     昭和五三年一一月二八日

登録意匠の範囲 別紙図面(五)のとおり

(六) 別紙図面(六)に示すとおりの形状を有するコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクA型」

(七) 別紙図面(七)に示すとおりの形状を有するコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクB型」

(八) 別紙図面(八)に示すとおりの形状を有するコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクC型」

(九) 別紙図面(九)に示すとおりの形状を有するコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクD型」

(一〇) 別紙図面(一〇)に示すとおりの形状を有するコンクリートブロツク「ササオカ式間知ブロツクE型」

〔編註その三〕 本件に関する図面は左のとおりである。

図面(一)

第一意匠

<省略>

図面(二)

第二意匠

<省略>

図面(三)

第三意匠

<省略>

図面(四)

第四意匠

<省略>

図面(五)

第5意匠

<省略>

図面(六)

A型意匠

<省略>

図面(七)

B型意匠

<省略>

図面(八)

C型意匠

<省略>

図面(九)

D型意匠

<省略>

図面(一〇)

E型意匠

<省略>

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